2024年4月27日

ディジュリドゥの選ぶポイント

Yirrkala Art Centreのイダキ

ディジュリドゥはなんといっても1本1本、形、音、すべて違う。そんな中から自分にあった1本を探すのは本当に難しいと思う。ここではディジュリドゥの選び方のポイントをあげてみた。まずディジュリドゥの大きな問題はクラックである。どんなによいディジュリドゥを買ってもクラックが入る場合がある。特に日本の冬はディジュリドゥにとっては相性が悪く、クラックが入りやすい。まず冬の屋外では絶対に演奏しないこと。かなり高い確率でディジュリドゥにクラックが入る。100%クラックが入らないと保証できるユーカリディジュリドゥというのはないのだが、ディジュリドゥを選ぶときによく表面をチェックするとよいだろう。
次に音質として選ぶ方法だが、簡単にいってしまえば太いディジュリドゥほど音の響きはいいが吹きにくい。細いディジュほど吹きやすいがそれだけでは音に厚みがない。一番理想的なのは

(1) 吹き口は細く徐々にボトムが広がっていくタイプ
(2) 吹き口から3分の2ぐらいが細く残りの3分の1ぐらいが太いもの


ただしこれはあくまで内側の形の話。
吹き口の内径サイズは直径3cm前後が理想でビーズワックス(蜜蝋)で大きな吹き口を縮めているものはできるだけさけた方がいい。キーは好きなキーを選べばいいと思うが、初めて吹くのならD~Eぐらいが平均的でよいと思う。低いキーのものは吹きにくいし、循環呼吸が難しいので挫折する人が多いようである。また高いキーは吹きやすいが、ディジュリドゥらしい音を出すのに苦労すると思う。

ではお店でどうするのがいいか?まずお店の人に「どのディジュリドゥがおすすめですか?」と言う質問はやめたほうがいい。そういわれて安いディジュリドゥをすすめる人はいない。私だったら一番いいディジュをすすめる。値段が高いほどいいディジュリドゥが多いのは仕方ないこと。「1万円で、ベルボトムで、音が良くて・・・」というのは無理な相談といえよう。まずはある程度予算に余裕がある人は第一印象でピンとくるものを選ぶのがいい。
数本選んだらお店の人に違いを聞いてみること。実際吹いてもらうのもいいだろう。まず初めての1本を選ぶのなら自分で吹きやすい、音が出せるものを選んだほうが賢明。2本目以上の場合はもう少し、どんなディジュリドゥがほしいか考えをまとめてから選び始める方が絞り込みもしやすい。もちろん直感で「これ!」というものに出会えたなら無条件に選ぶべきだが。

また、オーストラリアでディジュリドゥを買うとき、ある程度演奏できる人なら、とにかく試奏してみた方がいい。私の経験から、そのうちお店の人が奥から「これ吹いてみろ!」とおすすめのディジュリドゥを持ってくる。ただし中にはかなり高い値段のものや非売品なんかもあるのだが。そして買う商品が決まったら、まず値切ってみよう。ディジュリドゥは値段があってないもの。安くしてくれる場合もあるし、値段は下げられないけどケースをサービスしてくれたりする場合も少なくない。そして梱包は十分にしてもらうことは忘れてはならない。

また中古ディジュリドゥだったり、再生品(補修した商品)などには掘り出し物が多い。同じクオリティのものが割安で買えるので中古品、再生品だということが許せるならば、購入して損はない。

[バリ産、インド産などのディジュリドゥにご注意!]

ダーウィン空港で売られているバリ産のアボリジナルアート風お土産

ディジュリドゥを購入する際 、当店の商品はディジュリボーンやディジュトーイを除き、オーストラリア産のユーカリ・ディジュリドゥである。ただ日本国内だけでなく、オーストラリアなどでも「バリ産の格安ディジュリドゥ」という風に数千円で売っている木製ディジュリドゥがある。ちゃんとバリ産と明記されているのならまだ許せるのだが、このバリ産のディジュを「アボリジニの制作した高級品」として10数万円で買わされた事件などが起こっている。ディジュリドゥは元来オーストラリア先住民アボリジニの民族楽器であり、ディジュリドゥとアボリジナル文化に敬意を払っている人には彼らに還元されるディジュリドゥを購入してもらいたい。当店で取り扱うディジュリドゥのうち、アーネムランド・イダキやマーゴなどは正規の販売ルートから仕入れたものであり、ちゃんと先住民の職人に還元されている。またケアンズ産などのユーカリディジュに関しても、一部売り上げを北東アーネムランドのヨルングの職人に還元するなどの活動を続けている。バリ産のディジュリドゥを購入すると言うことは、先住民の貴重な文化を破壊しかねない問題であることを是非理解していただきたい。

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