Arnhem Land Report (2020年1月15日)

実質最終日の今日。今回は、旅行と言うより滞在という意味合いの方が強かったような気がする。いつもは実質3日間ぐらいで、駆け足であちこち回り、急いでイダキをセレクトしてあっという間に出発、という感じだった。でも今回は、イダキのセレクト、カッティング、ペイント、どれもじっくり体験することができたから本当に満足。ふと今年はディンカム・ジャパンが25周年だから自分へのご褒美だったのかな?と勝手に思っている。理解してくれた家族、スタッフには感謝している。

さて、今日は何をしていたか、まずはイダキのパッキング。
もちろんジェレミー達に任せれば自分はある意味お客なのでする必要はないのだ。でも、イリカラタイムというのがあって、ヨルングに限らず「明日やっておくよ」という台詞を2~3日続けて聞くことがある。最終的にはやってくれるのだけど、ある程度こちらで終わらせておけば、まあ多少はスムーズなのだ。

とはいっても、32本のパッキングは大仕事だ。
今回はバックヤードのスペースを借りてパッキングするのだけど、ちょうどバックヤードの大掃除とぶつかって横で掃除しているもんだから埃っぽくて大変だった。さらにエアコンがなく、スタッフのひとりが気を利かせて扇風機をこちらに向けてくれたのだけど、風通しが悪いからもうサウナ状態だ。

まずペイントがきれいなものを不織布でまく。直接梱包材で巻くと湿気でぷちぷちの跡が残ることがあるのだ。10本程度不織布で巻いたら、残りとあわせて、すべてを1本1本梱包材でくるんでいく。テープで留めるのだが、ボトム部分は空けておくのが正解。すべて密閉してしまうと湿度が残り日本に到着した頃にカビが発生してることもある。これらの作業を堅いコンクリートの床でするというのも年寄りにはしんどい仕事だ。それでも格闘すること3時間。すべてのイダキの梱包を終えた。それをまた室内に運び作業終了。もう汗だくだ。

作業が一段落したので、いったん戻りシャワーを浴びて、お昼を食べて、ちょっと休憩。しばらくして落ち着いたので、Zeldaにメッセージを送る。「今いる?これから行こうと思ってるんだけど」すぐに返信が「いるよ。」と。

昨日までのイダキペイントのお礼に町のスーパーでコカコーラゼロ(こちらではコカコーラノーシュガーというらしい)を1ケース(10缶)を買っていく。昨日、ペイントしていると、「コーラ買ってきて」と頼まれ、Wallaby Beach内にある小さなお店に行くとなんと1缶3ドルもする。これを町のスーパーで1ケース買うと11ドルちょっと。計算では4缶分で1ケース買えることになる。だったら、と思って持って行った。

Wallaby Beachに到着すると静かだ。誰も居ないので、Zeldaの家を訪ねる。

「Old man (Djaluのこと)はあなたのYapa (Dophiya)達と病院へいったよ。」と
「足が痛いらしくて、救命救急にいるから会っておいで」と。
2005年に来日したときも足が腫れ上がり、2日間千葉の病院に入院したことを思い出す。大丈夫かな?

病院に行ってみたけど、彼らの車が見当たらないので、いったん引き上げることに。

アートセンターに戻り、彫刻を追加で購入したり、スタッフと談笑したりしていると、なにやら賑やかな声が。いや、賑やかと言うよりやかましいレベルの声が。
Yolnguの子供達がたくさん来てるらしい。
イダキを持っては走り回り、部屋の中でブッブカブッブカテンポ良いリズムで演奏してる。といってもほとんどは5秒から10秒ぐらいで終わってしまうけど、タンギングだけはいっちょ前だ。何枚か写真を撮らせてもらった。

夕方になったので、Zeldaに連絡をしたらDjaluはもう戻ってきてるらしい。じゃあ、ということで再びWallaby Beachへ。

到着するとDjaluの裏庭には人はいない。なんだ、またみんな昼寝か、と思いながら振り返ると隣のZeldaの裏庭の昨日ペイントしてた場所に、Djaluが座って手を上げてた。

とりあえず足は大丈夫らしい。ただ痛いからまた日本の薬を送っておくれ、と頼まれた。彼は明日朝私が旅立つことを知っているので、「気をつけて。また戻っておいで。」と気を遣ってくれた。記念に写真を撮った。LarryやLina, Yotjinとも写真を撮った。Zeldaはちょうど寝てしまったらしいので起こさないでおいた。さっき会ったしね。Yapa (Dophiya)は家の中で横になってた。「明日朝帰るんだろ?またね。今日は疲れたよ。」と握手だけして別れた。ちょっと珍しかったのはたいてい「こっちに来なさい。タバコ買ってきておくれ。」とか最後の最後までねだられるのだけど、今回はホントに疲れてたんだろう。来年はもっと一緒に時間を過ごしたいな。

当たり前のようにいつまでも彼らがここにいて自分のことを待っていてくれる。これほど嬉しいことはない。でもその当たり前が次第に変化していくことも避けられない。これからもまたDjaluをはじめファミリーが元気でいてくれることが一番の願いだ。彼らから学んだShare (共有)の心を忘れずに、自分の体験をこれからも興味を持ってくれた皆様と分かち合っていきたいと思っている。

今回のArnhem Land Reportはこれにて終了。
今までもレポートは書いていたのだが、その日の夜に忘れないうちに毎日書き続けたので長文になってしまったが、最後までおつきあい頂いた皆様、ありがとうございました。