Arnhem Land Report (2020年1月13日)

昨日どこかで刺されたのか、足に多数の虫刺されの跡。さらにはドアの角でくるぶしをぶつけて傷は作るし、イダキカッティングでも擦り傷だらけ。こんなところで、「あー、アーネムランドにいるんだな」と変に実感する。

今朝は、いろいろ所用がある。ファミリーにアートセンターから購入した木肌のイダキのペイントをお願いするとLinaに約束したから。その前にレンタカーのガソリンを入れなくては。その前にATMでお金を下ろしてそれから、Yaliに午後のイダキカッティングにいけないと伝えて、昨日貸したままの斧を返してもらわなくては。

ということで、午前中はあっちこっちへ移動。まずはガソリン。通常こちらのガソリンはいわゆるレギュラー(unleaded)とディーゼルの2種類。たいてい給油口に明記されているのだけど、この車どちらも書いてない。そのため一度レンタカー会社へ行って確認。レギュラーとわかったので、ATMでお金を下ろしガソリンスタンドへ。その後、そこからすぐのホステルへ行き、Yaliを探す。でもちょうど町へ行ってるらしい。

じゃあとりあえずWallaby Beachへ。到着するとちょっとした事件が。着いたらLinaとDjaluがいた。そこにLarryが来た。Larryは、昨日作ったイダキを買わないか、という。Linaは頼んだイダキのペイントをどうするか、と話し始める。Djaluは白人の中には自分のイダキを理解しない人がいる、と話し始める。さらにZeldaもやってきて、みなそれぞれ勝手に話し始める。Larryのイダキはもう予算がなくて買えなかった。Larryはじゃあ、アートセンターに売るよ、と言ってくれた。Djaluもがっかりしてた。ごめんね。それでもDjaluはそのイダキを手にして、自分に向かって吹いてくれた。あ〜もう今回は彼のイダキを聴けないのか、と思ってたのでちょっと嬉しくも思った。確かにもうあのパワフルな突き抜ける音ではなかったが、それでも魂がこもった音だった。この音をずっと忘れないようにしようと思った。

今回はZeldaとSelmaの二人の娘がペイントをしてくれることになった。
明日には仕上がると思うので楽しみだ。

その後、いったん市内へ戻り買い物をすませようとスーパーへ行くと入口にYaliがいた。あ〜よかった。事情を説明して斧を受け取った。
ちょうどお昼時だったのでイリカラに戻って滞在先でご飯を炊いて食べることにした。朝と昼は自炊、夜はジェレミーのところでお世話になっている。お米は、まあ日本の米ほどではないが、十分美味しく食べられる。まとめて炊いておけば明日の朝か昼にも食べられるし。あ〜ふりかけ持ってきて正解だ。

ご飯がほぼ炊き終わった頃、ジェレミーがやってきて、「お客さんだよ」と。
なんとNgongu(ノンゴ)がやってきたのだ。2003年に私が初めて日本に招聘したヨルング。それから数年に1度のペースで会う機会があったが、今回はまた久しぶりに会えた。すっかりおっさんだw おなかも出てきたし。でも相変わらず素晴らしいイダキを作る。今回も2本アートセンターへ持ってきたけど、もう予算オーバーで買えなかったのが残念だ。

それから私が居ない間にDjuldjulも来たそうだ。彼女はあのブルースの奥さん。あの巻き付いた蛇の絵柄は細かく素晴らしいとしかいいようがない。1本だけだけど、また蛇のアートの素晴らしいイダキを購入した。(一応今週入るかも、と聞いてたので、このイダキのために予算をキープしておいてよかった。)

その後は今日はのんびり過ごした。アートセンターに来たヨルングキッズ達がイダキを鳴らしているのを見たり、自分の選んだイダキを最終決定したり。

明日はペイントを頼んだイダキを受取に行き、Yapa(今日夕方戻ってきてるはずのドフィアのこと)に会いに行かなくては。

この地に何十回と足を運んでいれば、イダキカッティングや、イダキペイントなど素晴らしい体験があるだけでは終わらない。毎回いろいろなトラブルや見たくない場面にも出くわす。彼らとの距離を誤ると自分がトラブルに巻き込まれることもあるし、次第に彼らのことを嫌いになることもある。だからほどよい距離感でつきあっていかないと最悪、自分が壊れてしまうこともあるのだ。彼らの世界観、常識、バランダ(白人)との関係性、それらを少しずつ理解し、少しずつ消化し、少しずつ正解を探していかなければこの地から遠のいていくしかない。多分一生かけても正解はない。どのぐらい彼らに貢献すればいいか、どれくらい彼らに近づいていいのか。毎回悩みながら接している。

明日はどんな1日になるか。あと実質2日。天気がこのまま良いといいな。